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シャウベルガー、序章(シャウベルガーの業績を振り返る)

 シャウベルガーの本質を振り返ってみたいと思います。「私にはもはや自分の心がない。自分の考えすらない。ここまでいろいろやってきたが、私にはもはや何も残されていない。私には未来がないのだ。」

 こう言ったシャウベルガーは希望を打ち砕かれて、失意のどん底に陥っていたと思われますが、では本当に未来がないと思っていたのでしょうか。いいえ、それはちょっと違います。こういった心の底には、彼がエネルギーレベルで自然がどのように作用しているかを私たちがまったく理解していないか、誤解しているために、地球環境がどんどん悪化して、今後30年の内に人類は滅亡するのではないかという危機感に苛まれていた可能性が高いのです。彼は、自然を意のままにしようとするのではなく、謙虚な心で自然を探求し、学ぶことから始めるべきであるという信条を常に持っていました。この事が世の中に受け入れられなかったのです。私たちは無意味に資源を濫費し、自然を破壊するだけでは人類の将来を危機に追いやってしまうだけだ、と思っていました。だからこそ、彼は希望がないと言ったのです。

 シャウベルガーは悪夢のような厳しい追及に疲れ切り、テキサスから故郷へ戻る飛行機の中で息子のヴァルターに悩みを伝えていました。自ら開発していた新エネルギー、浮揚力、燃料不要の飛行法が可能である事を実証する装置の秘密を引き出そうと詰問されていたのです。その五日後、1958年9月25日に、彼はオーストリアのリンツで失意のうちに生涯を閉じました。

 彼は徹底したナチュラリストであり自然科学者でした。彼の後、優れた科学者は幾人も世に出ていますが、本当に自然を理解し、真実の自然科学者になり得た人物はいません。そのような人類の進路を永遠に変える孤独な道を歩むきっかけとなったエピソードを彼は生き生きと描いています。少し長いですが、「自然は脈動する」(日本教文社刊:アリック・バーソロミュー著・野口正雄訳)から引用しておきます。

 『早春の、月明かりの照らす産卵期の夜だった。危険な密漁者を捕まえようと滝のそばに座って待ち受けていたところ、何かがすばやく動くのに気づいた。だがそれが何なのかほとんどわからなかった。透き通った水面に落ちた月光は、よどみにいる大きな魚の群れの動きをことごとく照らし出していた。突然、下から大きな魚が滝に対峙するかのようによどみに入ってくると、群れは散り散りになった。その大きな魚は、他のマスを追い立てるかのように体をすばやくくねらせながらあちこちを激しく泳ぎ回った。その後、大きなマスは突如、溶けた金属のような光沢をもって落ちる巨大な滝の水流の中に消えた。円錐状になった水の流れの下で、一瞬、魚が激しく回転するように舞っているのが見えたが、その時は、いったいどういうことなのかわからなかった。マスが回転をやめると、みじろぎもせずに上に浮き上がっていくように見えた。滝の下の上り口のところにまで来るとマスは体を翻し、自分を強く押し上げて行くような動きで、滝の上部の向こうまでさかのぼって行った。そして、早い流水の中で力強く尾を動かすと、姿を消した。私は考え込みながらパイプにタバコを詰め、吸い終えるまでゆっくりと家路を歩いた。その後もたびたび同じような、マスが高い滝を跳ね上がる動きを目にした数十年にわたり、一本の鎖に輝くいくつもの真珠とでも言うべき同じような経験を重ねたあと、私はある結論に達したといっていいだろう。だがこの現象を説明できた科学者はいなかった。』

 このシャウベルガーの経験こそ、以降の彼の業績の大半を示す具体的なものなのです。

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