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尖閣問題と対中国外交

 日本の外交はまるでなっていません。多くの人はニュース報道を見て嘆いている事でしょう。その原因は幾つかあります。今日はそれを考えて見ます。

 まず、第一点は菅内閣に自主性がない事です。それは首尾一貫して断固たる姿勢を示してこなかった事に如実に示されています。方針が常に揺らいでおり、国益をいかに守るかの視点に欠けています。

 第二点に、すべてが米国頼みであり、米国の指示に頼り切っている事です。これでは米国といえども日本を守る気になどなりようがありません。この点は第一点と関連があります。

 第三点は、日米安全保障条約が抜け穴だらけの欠陥条約である事です。事実上日本は日米安保条約を盾に取っていますが、それが効果がない事はクリントン発言でも解ります。

 第四点は、国内のマスメディアが真実を伝えていない事にあります。本当は何が起こったのかは国民に充分知られているとは言い難い所があります。

 以上の四点の他に、政府が見通しを誤っている点にあります。その事はしっかりした外交ルートを通じて情報収集と事情を分析しなかった事にあります。

 これは、現在の民間出身の丹羽大使では不可能です。事前に中国がどのような姿勢と考えを以て今回の事件を起こしたのか、という分析が不十分、というよりも情報収集がまったくなされていません。丹羽大使が素人である証拠は、夜中に叩き起こされて驚いた事にも表れています。危急の事であれば、大使ともあれば何事が起こっても充分に対処できる心構えを持っていなければ務まりません。

 国会は近く開かれますが恐らく大荒れになる事でしょう。素人の大使という弱点と、政府関係者が先の見通しも持たず、弱腰外交に徹し、アメリカを頼りにするだけでは、何をかいわんやです。

 また、外交専門家もいまメディアに出ている人達はすべてが政府の方針に従うだけの御用評論家ばかりです。少しでも辛口の評論をする人は、関係者から疎んじられ、遠ざけられて来たからです。特にマスメディアでははっきりものを言う人は排除されて来ました。

 日本はどうなるのでしょうか。アメリカは日本を守る気などほとんどありません。アメリカはそれどころではなく、もし中国に機嫌を損ねられたら、大量に保有されている米国債を売りに出されるでしょう。そうすればアメリカはひとたまりもありません。つまり、アメリカは中国に首根っこを押さえられているのです。

 これは困ったものです。今はどう仕様もありません。中国は更に強硬手段に出るでしょう。日本は弱みを握られているのです。

 更に悪い事に、中国は国内が分裂している可能性が高い事です。温家宝や胡錦濤は国内で重大な場面に直面している可能性があり、軍部との連携も充分でない事も考えられます。

 更に、経済的には日本は中国に入れ込み過ぎており、もし中国から締め出しを食らったらこの先立ち行かなくなる企業が山ほどあります。中国に首根っこを押さえられているのはアメリカだけではないのです。

 これはまさに国難とも言うべき事態です。この国難の時期に、よりにもよって無能な内閣と政治家を揃えた事が事態を更に困難にしました。

 こうなれば内閣総辞職しかないのですが、それも不可能でしょう。マスメディアは何度も内閣のすげ替えをやるのは国益にかなわないと言って菅内閣を再選したばかりだからです。

 この事は国民である我々にも大いに責任があります。選んだのは我々自身であり、マスメディアが煽ったとは今更言えない状況だからです。

 と言っても、中国は手加減してくれる訳ではありません。中国は歴史上度々国難を迎えてきました。最近では、西洋列強に依る植民地支配です。これにはまさに国が消滅する可能性さえあったのです。

 翻って、日本はそういう事がありませんでした。いずれも危機一髪のところで難を逃れてきたのです。明治維新の時がそうですし、日清・日露の戦争がそうです。第二次世界大戦も、負けはしましたが、世界も同時に問題が起こり、国難になる前に朝鮮戦争が起り、この時も危機一髪のところで難を逃れてきたのです。

 更に日本は戦後の混乱期には、日米安保条約という見えざる傘に依ってアメリカに守られて来たかに見えましたが、いまその欺瞞の化けの皮が剥がされようとしているのです。

 今こそ、明治以来の最大の国難の時期が到来した事を国民は自覚するべきです。

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コメント

ここで言われている通りだと思います。日本は現在、東からアメリカ、南には中国、北にはロシアから包囲と圧迫を受けていると思います。国難でしょう。それは明治以来というより、日本が国を初めて以来の国難ではないでしょうか。では、日本の行く道はどこかという問題です。

投稿: sonqoo | 2010年9月28日 (火) 08時42分

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