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山場を迎えるJAL再建問題

 JALの再建問題が山場を迎えています。その中心論点となっているのがJALの企業年金制度の問題です。

 この問題は、ほとんどの企業年金が抱える根本的な問題でもあります。なぜなら、多くの企業年金が厚生年金基金を含めてここ数年の運用悪化に伴い、多額の不足金を抱えているからです。特にJALは、企業業績の悪化に加えて、他社よりもはるかに多額の年金給付を実施しており、その分の給付債務が際立って大きいからです。

 因みに同業であるANAの年金額で見てみると、ANAが月額9万円(加算額のみ)であるのに対して、JALは約25万円と、大きな開きがあります。これに国の厚生年金の給付を加えると、月額49万円にも上ります。

 また、2009年3月期でJALの退職給付債務は約8000億円で、積み立て不足は、3300億円に上ります。国の公的支援を受けるにしても、この膨大な額の退職給付債務の不足金問題を解決しないと解決の糸口が見えてこないのは当然です。

 今日の読売新聞の記事を以下に掲載します。

 日航年金削減に2案…不足分減額か基金解散

      11月10日3時12分配信

 経営再建中の日本航空の企業年金削減を巡り、政府が検討を進めている特別立法で、削減手法として2案が浮上していることが9日分かった。

 企業年金の積み立て不足分を支給額から強制減額する計画を日航がまとめ、政府が計画を認定する案と、日航の経営悪化により企業年金を維持できないとみなし、基金を解散させる手法だ。

 政府は一両日中に次回の日航再建対策本部(本部長・前原国土交通相)を開く方針で、週内の支援策表明に向け、ぎりぎりの調整を進めている。

 積み立て不足分を支給額から減額する案では、現役社員とOBそれぞれの3分の2以上の同意取り付けを条件とする方向だ。同意取り付けに失敗すれば、法的整理などに移行する公算が大きい。

 一方、年金基金の解散は、日航を「破綻(はたん)状態」と見なし、積み立て不足を穴埋めしなくてもよい条項を盛り込む方向だ。経営側と労組側で構成する代議員会で4分の3以上の賛成を取り付けるか、基金の継続が困難と判断した構成労働大臣の命令により行うことができる。

 特別立法には、航空産業を対象に、企業年金の削減を公的資金投入の条件とすることが盛り込まれると見られるが、事実上、日航への適用を念頭に置いたものとなる。

 ところが、現実的にはこの両方の案とも実に難しい問題を孕んでいます。まず現役社員とOBそれぞれから3分の2以上の同意取り付けは、現時点でも多くのOBが反対を表明しており、まず同意を得る事は不可能に近い。これに失敗すれば、法的整理に移行せざるを得ず、政府のメンツに掛けてもそれは避けたいはずです。

 次の厚生労働大臣の解散命令ですが、これも、これまで何回も他の業界側から出された同様の解散要求を、何かと理由をつけては拒否してきた厚生労働省側の態度を見ても、ダブルスタンダードになりかねず、また減額を強制的に盛り込む条項にしても憲法に保証された財産権の侵害に繋がりかねません。また、裁判に持ち込まれれば最終的には年金額削減に裁判所側がOKを出す可能性がありますが、大幅な削減は不可能であり、そうなると、将来的にJALの経営悪化の種を残したままの経営再建策にならざるを得ず、これでは抜本的な経営再建にはほど遠いことになります。

 また、最大の問題点は、企業年金制度で多額の不足金を抱える企業にとって、安易に解散を認めることは事実上の企業年金制度の崩壊を促進する事となり、これまでの年金行政の否定にも繋がります。さらに、公的資金を投入してJALだけを救済する事は、同じ窮地に陥っている大企業の年金制度への不公平感をももたらし、将来に大きな禍根を残します。

 これでは、問題解決の糸口は見えてきません。無理にでも、特別立法なり、強制解散に持ち込もうとすると、鳩山内閣の命取りになりかねません。ここは、すんなりと法的整理に持ち込むしか方法は無いと思います。もちろん、OB側が年金給付額削減に同意すればそれに越した事はないのです。

 問題がここまでくれば、OB側も給付削減をのむか、それとも突っ張って、法的整理に追い込まれ、企業年金そのものを元も子も無くするか、の二者択一しか選択肢は無いのです。それとも、民主党が無理にでもJALを救済しようとすれば政権そのものが崩壊する可能性があります。

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