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オバマ大統領「中東政策」チェンジなし?

 この表題を見られた読者は、あれっ、と思われたかも知れません。日ごろ私が書いてきた事と違うではないか、と。そうです。この表題は事実と違います。では、なぜこう書いたのか、それには理由があります。

 この表題は、週刊エコノミスト3月10日号に掲載された拓殖大学教授・立花 亨氏の論文です。この論文を今回は詳しく取り上げてみます。この文章のサブタイトルにこうあります。「オバマ大統領の中東政策は、ブッシュ前大統領とそれほど違わない。今後も大きく刷新される可能性は低い」とあります。

 この文章が掲載されたエコノミストは3月10日号で、この記事が書かれたのは、その前一週間程度でしょう。という事は、筆者はオバマ大統領が就任してわずか一か月余りでこう決めつけている訳です。外交の評論を行い、オバマ氏の評価を行うには余りにも短いと言わざるをえません。

 ただしこの文章の中では、重要な指摘がなされています。「…同大統領は就任式の翌日、計5本の大統領令と通達に署名し、『開かれた政権』の発足を宣言。その中で、政治が業界と癒着することを防ぐため『新たな透明性の時代』を告げる措置として、利益団体を代表するロビイストがその関連分野の公職に就くことを禁じた」とあります。

 これはその通りです。私は以前配布していたメールマガジン3月17号にこの事を取り上げ、オバマ大統領の他の対イスラエル政策の大転換と併せて記述し、多くの読者の目を開かせました。しかし、この文章はちょっとニュアンスが違うのです。まず第一に、氏が取り上げた5本の大統領令のうち、この事を規定した大統領令には付帯事項が付いているのです。イスラエルロビーを政権から排除するのはもちろんですが、全面的に追放するとは書いてありません。今後一切ロビー活動を行わない、という誓約書を提出すれば、政府の要職に就くことを認めてもいるのです。それはそうでしょう。たとえイスラエルロビーといえども、政府の幹部職員です。それが一斉にすべて追放されれば、政策遂行に支障を来すのは目に見えています。

 この文章の続く部分に、こうあります、「…それから10日と経たないうちに、大手軍事企業レイセオンでロビイストとして活動していたリン元国防次官を国防副長官に起用する人事が2月11日、大統領令の例外として上院本会議で承認された…」。これも先の付帯事項を無視しています。軍事専門家を一切政権に入れない方が政策としては余程無理があります。かえって専門家のアドバイスを受けるため必要ですらあるのです。

 さらに氏は続けて、オバマ陣営の個人献金取りまとめ役606人のうち、17人がロビイストであった、と指摘しオバマ陣営の政治的な清新さには疑問符が付く、とも書いています。しかし、この指摘には問題があります。個人献金する際には、これはイスラエルロビー活動としての献金であると言って献金する者は誰もいない筈です。まして、ブッシュやクリントンが集めた献金はそのほとんどがイスラエルロビーからの献金であった疑いが濃いことを考えても、606人のうち17人は極めて少ない数です。

 この後の文章も詳細なオバマ政権としての分析はなく、ブッシュ政権当時の政策をそのまま踏襲した分析に終始し、なんらオバマ政権としての政策遂行を見て来た分析にはなっていません。それで結論として、「…同政権に寄せられている現状打破への期待は逆に、大きな失望へと変化せざるをえないであろう」と結んでいます。

 この論文がまったく間違っている事は、少なくともいま現在、「核兵器不拡散・核の廃絶」に向けてロシアや中東を訪問し、これら一連の政策を強力に実現しようとしているオバマ大統領の姿勢を見る限り、誰が見ても分かります。それが証拠に、かの田中宇氏でさえこの事をメールマガジンで指摘し、配信しています。

 週刊エコノミストは毎日新聞の発行です。このようにマスメディアの海外情報には、異常なバイアスが掛っています。われわれは、この事を十分知った上で、海外の情勢に眼を凝らす必要があるのです。

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