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ヘッジファンドにとっての市場環境見通しについて

 昨日の資産運用セミナーにおける運用会社の見通しについて書きます。幾つかの見通しストーリーを挙げている中で、まとめて見ると、市場参加者が一斉にリスク資産の圧縮を行った昨秋のリーマン・ショックのような状況が再発する可能性は低い、アクティブ運用を行なう投資家の市場回帰によって、アルファを獲得するに充分な出来高も伴うことが予想される、厳しい運用環境ではあるが、競争相手が減少することによる収益機会の増加が見込まれる、という事になります。これは、会社側からの説明を鵜呑みにしたものです。しかし、これが現実といかに乖離しているかは、ちょっと考えればすぐ理解できます。

 それに、これらの見通しは実体経済のプラス面ばかりを取り上げた結果であり、実体経済を詳細に見て行く限りにおいては必ずしも見通しが明るいとはとても言えません。例えばGMの収益改善計画が、思う通りに進んでいないのは、市場見通しや金融・購買力の環境悪化だけではないのです。自動車産業がすでにきわめて急速に衰退しつつあり、それに抵抗しようとする労働者側と、販売を司るディーラーなどが無駄とも思える最後のあがきをしているからです。GM本体はディーラーの削減を打ち出しましたが、ディーラー側は訴訟に訴えてでもこれに抵抗を試みているのがその証拠です。

 このようなことは従来の市場分析だけでは理解できません。労働側もそうです。要するに過去の分析が通用しない時代に入ったのです。それを如実に物語っているのがエネルギーの問題です。ここで一気に代替エネルギーの新技術が公開(開発)されると、これによって一気にモータリゼーションの仕組みが変わる可能性があるのです。既に自動車は水だけでも走る、と囁かれています。この新事実が世に認められると、それこそ瞬く間に世界は姿を変えるでしょう。

 もうこの時代は予測不能な段階に入ったのです。我々は、好むと好まざるとに関わらず空前のキリモミ状態に置かれるであろう事だけは予測しておくべきです。

 それに、考えなければいけないのは、資産を運用によって増やそうという思想です。既に消費・生産に伴う社会は無限に成長を続ける、という神話が崩壊しました。資源やヒト、モノには限りがあります。金融がその例です。ネズミ講はいずれ破綻するのです。この現実がいまこそ到来したのです。この事を、厚生年金制度に携わる運用責任の一端を負うべき私が口にする事は、実に忍びないことです。でも、いつかは、誰かがいずれ認識するはずです。

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